障害年金と傷病手当金の違いを社労士が解説|併給や申請タイミングも紹介

最終更新日 25-09-15

  • 「傷病手当金を受給しているけれど、このままケガや傷病が治らなかったらどうしよう…」
  • 「障害年金という制度もあると聞いたけど、傷病手当金とは何が違うの?」

病気やけがで働けなくなったとき、生活を支える公的な制度として「傷病手当金」と「障害年金」があります。

この2つは、どちらも心強い制度ですが、その目的や受け取れる条件、期間などに違いがあります。

このコラムでは、障害年金の専門家である社会保険労務士が、傷病手当金と障害年金の違い、両方を受け取れるのか(併給)、どちらをいつ申請すればよいのか、といった疑問について、分かりやすく解説します。

 

障害年金と傷病手当金、それぞれの基礎知識

まずは、2つの制度がどのようなものか、基本的な知識から確認していきましょう。

  • 傷病手当金とは?

傷病手当金は、主に会社の健康保険に加入している方が、病気やけがのために仕事を休み、十分な給与を受け取れない場合に、一時的な生活費を補うために支給される給付金です。職場復帰を前提とした短期的な所得保障制度とイメージすると分かりやすいでしょう。

  • 障害年金とは?

一方、障害年金は、病気やけがによって、日常生活や仕事に長期的な支障(障害)が残った場合に、生活の安定を支えるために支給される公的な年金です。うつ病などの精神疾患も対象となります。

 

 

主な違いが一目でわかる比較表

2つの制度の主な違いを、以下の表にまとめました。

 

項目

傷病手当金

障害年金

目的

病気やけがで働けない期間の生活支援

障害が残った場合の生活支援

支給条件

健康保険に加入しており、働けない状態であること

障害が一定の程度に達していること、年金加入歴があること

支給期間

最長1年6ヶ月

障害が続く限り、生涯支給されることが多い

支給額

給与の3分の2程度(最大)

障害年金の等級に応じた金額

支給のタイミング

病気やけがで働けない期間に支給

障害が発生し、固定した時点から支給開始

 

障害年金と傷病手当金は両方もらえる?(併給について)

「できれば両方もらって、少しでも生活を安定させたい」と考える方も多いでしょう。

しかし、原則として、同じ病気やけがを原因として、障害年金と傷病手当金を全額同時に受け取ることはできません。

これは、公的な制度によって過剰な給付が行われるのを防ぐためです。 ただし、受け取り方が調整されるケースがあります。

具体的には、障害年金の金額と傷病手当金の金額を比較して、以下のように調整されます。

 

【傷病手当金と障害年金の支給調整】

障害年金の方が多かったら

障害基礎年金の日額+障害厚生年金の日額 > 傷病手当金の日額

 

このケースでは、障害年金が優先されるので傷病手当金は支給されません。

 

傷病手当金の方が多かったら

傷病手当金の日額 > 障害基礎年金の日額+障害厚生年金の日額

 

このケースでは、傷病手当金と障害年金の額との差額が傷病手当金として支給されます。

※ここでの 「障害年金の額」 とは障害基礎年金の額と障害厚生年金の額の合算額

このように、傷病手当金の方が多いケースでは、実質的に両方の制度から給付を受けられることになります。

 

なお、初診日に自営業や学生などの国民年金1号被保険者であって、障害基礎年金のみを受ける方は調整の対象外となり、障害基礎年金と傷病手当金を両方受けることができます。

 

申請のタイミングはいつがベスト?

傷病手当金の支給期間は最長1年6ヶ月という上限があります。そのため、多くの場合、まずは傷病手当金を受給し、症状の回復が見込めない場合に障害年金へ切り替える、という流れが一般的です。

障害年金を申請するタイミングの目安は、以下の2つです。

 

1.初診日から1年6ヶ月が経過したとき(障害認定日)

障害年金は、原則として病気やけがで初めて医師の診療を受けた「初診日」から1年6ヶ月が経過した日(障害認定日)から申請が可能です。ちょうど傷病手当金の支給が終了するタイミングと重なるため、スムーズな移行が期待できます。

 

2.傷病手当金の支給終了が近づいたとき

障害年金の申請は、書類の準備から審査、支給決定まで数ヶ月かかることが珍しくありません。傷病手当金の支給が終了する時期を見越して、早めに準備を始めることで、収入が途絶える期間を最小限に抑えることができます。

 

不安な点は専門家への相談も検討しましょう

傷病手当金と障害年金は、どちらも病気やけがで働けなくなった際の重要なセーフティネットですが、異なる役割を持つ制度です。

ご自身の状況に合わせて、適切なタイミングで適切な制度を活用することが大切です。

しかし、障害年金の申請手続きは複雑で、専門的な知識が求められる場面も少なくありません。

「自分は対象になるのか」「書類の書き方がわからない」など、少しでも不安な点があれば、私たち「新潟・長岡障害年金サポート」のような専門家にご相談ください。

あなたの状況を丁寧にお伺いし、最適な方法をご提案することで、安心して治療に専念できるよう全力でサポートいたします。

 

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