脊椎障害で障害年金はもらえるの?社労士が解説!【新潟で障害年金にお悩みの方へ】
目次
最終更新日 25-08-13
脊椎障害と障害年金の基礎知識
腰痛や首の痛み、手足のしびれなどを引き起こす脊椎障害。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、変形性脊椎症などですが、症状によっては日常生活や仕事に大きな支障をきたします。
このような困難を抱える方が、経済的な基盤を確保し、安心して治療に専念したり、ご自身の状態に合った働き方を探したりするための一助となるのが「障害年金」です。ここでは、まず脊椎障害の基本的な情報と、障害年金制度の概要について解説します。
脊椎障害とは?その症状と影響
脊椎障害とは背骨(脊椎)に起こる病気やケガの総称です。代表的なものは以下の症状です。
- 椎間板ヘルニア: 背骨の骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、神経を圧迫するもの。
- 脊柱管狭窄症: 神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されるもの。
- 変形性脊椎症: 加齢などにより背骨が変形し、痛みや可動域の制限が生じるもの。
- 脊椎分離症・すべり症: 背骨の一部が分離したり、ずれたりするもの。
これらの疾患により、以下のような様々な影響が生活に現れます。
- 仕事面: 長時間同じ姿勢(座る・立つ)でいることが辛い、重い物を持つ作業ができない、痛みやしびれで仕事の集中力が持続しない、通勤が困難になるなど、就労に大きな制限を受けることがあります。
- 日常生活面: 寝返りや起き上がりがスムーズにできない、顔を洗ったり靴下を履いたりする動作が難しい、長距離を歩けない、掃除や料理などの家事が思うようにできない、といった問題が起こりがちです。
こうした身体的な苦痛や生活の不自由さが続くことで、精神的にも落ち込んでしまう方も少なくありません。
障害年金の概要と目的
「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
事故や労災によるケガだけでなく、脊椎障害のような病気も障害年金の対象となります。
障害の程度に応じて安定した収入が継続的に得られることは、ご本人の経済的な安心だけでなく、精神的な安定にも繋がります。そして、治療への専念や、身体に負担の少ない働き方への移行を支える重要な役割を果たします。
脊椎障害の認定基準の特徴
障害年金の認定では脊椎障害は「肢体の障害」に分類されます。
審査で重視されるのは、症状名ではなく、脊椎(背骨)の「変形の程度」や「動かせる範囲(可動域)」それによって「日常生活や仕事にどの程度の支障が生じているか」という点です。
したがって、ご自身の病名だけでなく、脊椎障害によって具体的にどのような動作が、どのくらい困難になっているのかを診断書や申立書で明確に伝えることが重要になってきます。
障害年金の受給要件
障害年金を受給するためには、定められたいくつかの要件をすべて満たす必要があります。ここでは、障害の程度を示す「障害等級」や、申請に不可欠な「初診日」など、具体的な受給要件について解説します。
障害等級の説明(1級、2級、3級)
障害年金は、障害の状態に応じて1級、2級、3級の等級に分けられます。脊椎障害を含む肢体の障害における等級の目安は以下の通りです。
- 1級: 体幹の機能に著しい障害があり、座っていることができない、または立ち上がることができない状態。
- 2級: 脊柱に著しい運動障害を残すもの。または、体幹の機能に障害があり、歩行が困難な状態。
- 3級(厚生年金のみ): 脊柱に運動機能の著しい障害を残すもの。労働に著しい制限が必要な状態。
※ 障害厚生年金の加入者で、3級よりも軽い障害が残った場合に一時金として支給される「障害手当金」の制度もあります。
障害年金を受け取るための条件
障害年金を受け取るためにはいくつかの条件を満たさなければなりません。申請の前に、条件を満たしているか必ず確認しましょう。
①初診日要件
国民年金、厚生年金、共済年金へ加入していた期間中に、その障害の原因となった病気やケガを医師や歯科医師に診察してもらっていることが必要です。この診察を初めて受けた日を「初診日」といいます。
②保険料納付要件
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、3分の2以上の期間について、保険料を納めているか、または免除されている必要があります。
この要件を満たせなくても、特例として、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ、要件を満たすことができます(この特例は令和8年3月31日まで)。
(※20歳前の年金制度に加入していない期間に「初診日」がある場合は、納付要件は問われません)
③障害認定日の要件
障害年金を受けられるかどうかは、障害認定日に一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
障害認定日とは、初診日から1年6か月が経過した日または1年6か月以内に症状が固定(それ以上治療の効果が期待できない状態)した日のことです。
この障害認定日に一定の障害状態にあると認められると、その翌月から年金が支給されます。これを、「障害認定日請求」と呼び、もし請求が遅れても最大5年遡って支給されます。
また、障害認定日には障害の状態が軽かったとしても、その後症状が悪化し、障害等級に該当した場合は、「事後重症請求」という形で申請することも可能です。
④受給できるのは原則20歳から64歳まで
障害年金は原則20歳から64歳までの人が受給できます。65歳になると、基本的には老齢年金か障害年金のどちらかを選択して受給することになります。
脊椎障害における認定基準のポイント
脊椎障害の審査では、診断書に記載される「脊柱の機能障害」と「脊柱の変形障害」が客観的な指標として重視されます。
「機能障害」の評価ポイント
主に頚部(首)と胸腰部(胸から腰)の可動域(動かせる範囲)によって評価されます。
2級に該当する可能性:「脊柱に著しい運動障害を残すもの」
- 頚部および胸腰部の両方が、ほとんど動かない「強直」という状態。
- レントゲン等で確認できる、背骨の広範囲にわたる固定術が施されている場合。
3級に該当する可能性:「脊柱の運動機能に著しい障害を残すもの」
- 頚部または胸腰部の可動域が、正常な可動域の2分の1以下に制限されている。
- レントゲン等で確認できる、背骨の一部に固定術が施されている場合。
- 障害手当金に該当する可能性:「脊柱に運動機能の障害を残すもの」
- 頚部または胸腰部の可動域が、正常な可動域の4分の3以下に制限されている。
これらの可動域の測定値に加え、日常生活でどのような動作が不便かという点も総合的に評価されます。
「変形障害」の評価ポイント
レントゲン写真などによって確認される、脊柱の変形の度合いで評価されます。
2級に該当する可能性:「脊柱に著しい変形を残すもの」
- 著しい後弯(背中が丸くなる)や側弯(背骨が横に曲がる)がある場合。
- 障害手当金に該当する可能性:「脊柱に変形を残すもの」
- レントゲンで明らかな側弯症や、背骨が圧迫骨折して変形していることが確認できる場合。
客観的な指標と日常生活上の困難さを診断書や申立書でいかに整合性を持って表現するかが鍵となります。
具体的な申請手続きの流れ
障害年金の申請は、一般的に以下の流れで進めます。
- 年金事務所への相談: まずはお近くの年金事務所や年金相談センターに相談し、必要な書類や手続きの概要を確認します。
- 初診日の証明: 初診の医療機関で「受診状況等証明書」を取得します。カルテが破棄されているなど証明が難しい場合は、専門家である社労士に相談することをお勧めします。
- 診断書の作成依頼: 現在通院している医療機関に、障害年金用の診断書(肢体の障害用)の作成を依頼します。日常生活で困っている動作などをまとめたメモを渡すと、より実態に即した診断書を書いてもらいやすくなります。
- 申立書の作成: 「病歴・就労状況等申立書」を作成します。これは、発症から現在までの病状の経過や、日常生活・就労における支障を、ご自身の言葉で伝えるための重要な書類です。
- 書類の提出: 揃えた書類を年金事務所または市区町村役場の窓口に提出します。
書類の準備には時間がかかるため、計画的に進めることが大切です。
障害年金の金額について
障害年金を受給できるとなった場合、実際にいくらくらい受け取れるのかは、最も気になるところでしょう。ここでは、脊椎障害で受給する場合の支給額の目安や、働きながら受給する際の注意点について解説します。
脊椎障害における支給の目安額
障害年金の額は、年金の種類(基礎・厚生)と障害等級によって決まります。以下は令和7年度の年額です。
障害基礎年金
- 1級: 1,039,625 円 +子の加算
- 2級: 831,700 円+ 子の加算
※子の加算:18歳年度末までの子(障害等級1・2級の場合は20歳未満の子)がいる場合に加算されます。第1子・第2子は各239,300円、第3子以降は各79,800円です。
障害厚生年金
- 1級: 障害基礎年金+(報酬比例の年金額) × 1.25 + 配偶者の加給年金額
- 2級: 障害基礎年金+(報酬比例の年金額) + 配偶者の加給年金額
- 3級: (報酬比例の年金額) ※最低保障額 623,800円
- 障害手当金(一時金): (報酬比例の年金額)の2年分 ※最低保障額 1,247,600円
※報酬比例の年金額は、厚生年金の加入期間や過去の報酬額(給与)によって一人ひとり異なります。
※配偶者の加給年金額:生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます(年額239,300円)。
支給が「もらえない」ケースとは?
申請しても障害年金が受給できない(不支給となる)ケースには、主に以下の理由が挙げられます。
- 初診日要件を満たさない: 初診日を特定できない、または証明できない場合。
- 保険料納付要件を満たさない: 初診日前の一定期間、年金保険料の未納が多い場合。
- 障害の状態が認定基準に該当しない: 提出された診断書の内容から、障害等級に該当するほどの障害状態ではないと判断された場合。脊椎障害の場合、痛みやしびれがあっても、可動域の制限などが基準に達していないと判断されることが不支給の主な理由です。
3番目は診断書の内容が実態と合っていなかったり、申立書で生活状況の困難さが伝えられていなかったりすることが原因となることがあります。
働きながら受給する場合の注意点
「働いていると障害年金はもらえない」と思われがちですが、そんなことはありません。特に脊椎障害の場合、症状によってできる仕事とできない仕事がはっきり分かれるため、働きながら受給している方は多くいらっしゃいます。
審査において就労状況は重要な判断材料となります。
- 障害基礎年金(2級): 「日常生活に著しい制限がある」状態が求められるため、一般雇用でフルタイム勤務していると認定が難しくなる傾向があります。
- 障害厚生年金(3級): 「労働に著しい制限がある」状態が要件のため、働きながら受給することを想定した等級と言えます。
デスクワークは可能でも重量物の運搬ができない、短時間の勤務しかできない、痛みが強い日は頻繁に休憩が必要など、仕事内容や勤務形態にどのような配慮や制限があるかを具体的に申告することが重要です。
永久認定とそのメリット・デメリット
障害年金には、数年ごとに診断書の提出が必要な「有期認定」と、更新手続きが不要な「永久認定」があります。
- メリット: 永久認定となれば、生涯にわたって年金が支給され、更新手続きの負担や、支給が停止される不安がなくなります。
- デメリット: 脊椎障害の場合、手術によって症状が固定し、これ以上の改善が見込めないと判断された場合などに永久認定となることがありますが、多くは1〜5年の有期認定となります。
基本的には有期認定となり、定期的に診断書の提出が必要だと理解しておくのが良いでしょう。
障害年金の申請時のポイント
障害年金の申請は、書類審査です。提出する書類の完成度が、結果を大きく左右します。ここでは、脊椎障害の方が申請を成功させるために押さえておきたい重要なポイントを解説します。
有効な診断書の書き方とは
診断書(肢体の障害用)は、障害等級を決定づける最も重要な書類です。医師に実態に即した内容を書いてもらうために、以下の点を心がけましょう。
- 日常生活の困難さを具体的に伝える
「腰が痛い」だけでなく、「痛みで10分以上立っていられない」「靴下を履くのに椅子に座り、5分かかる」「寝返りを打つたびに痛みで目が覚める」など、具体的な動作とそれに伴う困難さを伝えます。 - 可動域を正確に測定してもらう
認定基準の要である関節可動域は、正確に測定してもらう必要があります。測定時に痛みがある場合は、無理せず医師に伝えましょう。 - メモを作成して渡す
診察時間は限られています。事前に日常生活での支障(起き上がり、歩行、入浴、着替え、家事など)や、仕事上の制限などを時系列でまとめたメモを作成し、医師に渡すのが非常に有効です。
医師は治療の専門家ですが、障害年金制度の専門家ではありません。ご自身の困難さを客観的な事実として、もれなく伝えることが重要です。
必要な証明書と書類一覧
障害年金の申請には、主に以下の書類が必要です。
医師に作成してもらう書類
- 受診状況等証明書: 初診の病院と診断書作成の病院が違う場合に必要です。
- 診断書(肢体の障害用)
自身で用意する書類
- 年金請求書
- 病歴・就労状況等申立書
- 受診状況等証明書が添付できない申立書(初診の証明が取れない場合)
- 戸籍謄本、住民票など(配偶者・子供の確認のため)
- 金融機関の通帳のコピーなど
- 年金手帳・マイナンバーカードなど
これらの書類に不備があると、審査が遅れる原因になります。
申立書とその提出のタイミング
「病歴・就労状況等申立書」は、診断書では伝えきれないご自身の困難さをアピールできる唯一の書類です。診断書を補完する重要な役割を持ちます。
- 書き方のポイント
- 発症から現在までの経過を、時系列で分かりやすく記述します。
- 日常生活(起床、洗面、着替え、食事、掃除、外出など)の各場面で、具体的に「何が」「どのように」困難なのかを書きます。
- 補助具(杖、コルセットなど)の使用状況や、家族からどのような手助けを受けているかを具体的に書きます。
- 診断書の記載内容と矛盾がないように、整合性を意識して書きます。
この申立書の内容が、審査官があなたの生活実態を理解するための大きな手助けとなります。
受給申請後の流れと注意点
書類を提出した後も、結果が分かるまでは落ち着かない日々が続くかもしれません。ここでは、申請後の審査期間や、通知された結果への対応方法について解説します。
申請後の審査期間とは
障害年金の申請書類を提出してから、結果が通知されるまでの審査期間は、障害基礎年金で約3か月、障害厚生年金で約3か月半が目安とされています。しかし、書類の不備や確認事項が多い場合などは、これ以上かかることもあります。
審査結果は、「年金証書(支給決定の場合)」または「不支給決定通知書」「却下通知書」といった形で郵送されてきます。
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