障害年金と老齢年金、どっちが得?65歳からの賢い選択方法を社労士が解説

最終更新日 25-09-15

65歳を迎え、老齢年金をもらえる年齢になったとき、「今まで受給していた障害年金はどうなるの?」「老齢年金と障害年金、どっちを選ぶのが一番得なんだろう?」と疑問に思う方は少なくありません。

 

年金の選択は、今後の生活設計に大きく関わる重要な問題です。しかし、制度が複雑で、一人で判断するのは難しいと感じる方も多いでしょう。

 

この記事では、障害年金と老齢年金のどちらを選ぶべきか悩んでいる方のために、社会保険労務士が以下の点を分かりやすく解説します。

  • 障害年金と老齢年金の基本的な違い
  • 65歳になったときの年金の選択肢
  • 両方の年金を受け取れる「併給」の仕組み
  • 税金面も考慮した「どちらが得か」の比較ポイント

この記事を読めば、ご自身の状況に合った最適な年金の選択方法が分かり、安心して手続きを進められるようになります。

 

障害年金と老齢年金の基本

まず、二つの年金制度の基本的な違いを理解しておきましょう。

障害年金とは?

障害年金は、病気やケガによって法律で定められた障害の状態になり、日常生活や仕事に支障が出た場合に、現役世代の方でも受け取れる年金です。障害を抱えながら生活するための所得を保障する目的があります。

  • 種類
    • 障害基礎年金: 国民年金に加入中に初診日(※)がある場合に支給されます。
    • 障害厚生年金: 厚生年金に加入中に初診日がある場合に、障害基礎年金に上乗せして支給されます。
  • 主な支給要件
    1. 初診日に公的年金に加入していること
    2. 保険料を一定期間納めていること
    3. 障害認定日に法令で定める障害等級(1級~3級)に該当すること

(※初診日:障害の原因となった病気やケガで、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)

 

 

老齢年金とは?

老齢年金は、原則として65歳から受け取れる、高齢期の生活を支えるための年金です。一般的に「年金」というと、この老齢年金をイメージする方が多いでしょう。

  • 種類
    • 老齢基礎年金: 国民年金の保険料を10年以上納めた方が、原則65歳から受け取れます。
    • 老齢厚生年金: 厚生年金の加入期間がある方が、老齢基礎年金に上乗せして受け取れます。

一番の違いは「税金」

二つの年金の最も大きな違いは、税金がかかるかどうかです。

項目

障害年金

老齢年金

支給事由

病気やケガによる障害(原則20~64歳)

高齢(原則65歳以上)

税金

非課税

課税対象(雑所得)

受給開始

障害認定後

原則65歳以降

 

障害年金は全額非課税のため、所得税や住民税がかかりません。一方、老齢年金は課税対象となるため、同じ金額でも手取り額が変わってきます。この点は、どちらが得かを判断する上で非常に重要なポイントです。

 

 

65歳で年金はどう変わる?3つの選択肢

障害年金を受給している方が65歳になると、老齢年金を受け取る権利(受給権)が発生します。これにより、年金の受け取り方に3つの選択肢が生まれます。

  1. 障害年金を選択する(障害基礎年金+障害厚生年金)
  2. 老齢年金を選択する(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
  3. 年金を組み合わせて受け取る(併給)

65歳になったからといって、自動的に障害年金が止まるわけではありません。ご自身の状況に合わせて、最も有利な方法を選択し、手続きを行う必要があります。

 

障害年金と老齢年金は両方もらえる?併給の仕組み

「年金は1人1年金が原則」ですが、65歳以上の方は例外として、異なる種類の年金を組み合わせて両方受け取ること(併給)が可能です。

具体的には、以下の組み合わせで年金を受け取ることができます。

  • パターン1:障害年金のみ
    • 障害基礎年金 + 障害厚生年金
  • パターン2:老齢年金のみ
    • 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金
  • パターン3:組み合わせ(併給)
    • 障害基礎年金老齢厚生年金

(注意)「老齢基礎年金」と「障害厚生年金」の組み合わせで受け取ることはできません。

 

この選択肢の中で、どの組み合わせがご自身にとって最も受給額が多くなるかを確認することが重要です。

 

結局どっちが得?損しないための比較ポイント

では、最終的にどの受け取り方が一番得なのでしょうか。これは個人の状況によって異なるため、一概には言えませんが、判断するための重要なポイントが2つあります。

 

ポイント1:税金を考慮した「手取り額」で比較する

まずは、ご自身の「ねんきん定期便」や年金事務所で、先ほどの3パターンの受給見込額を確認しましょう。その際、単純な額面だけでなく、老齢年金にかかる税金を差し引いた「手取り額」で比較することが大切です。

 

障害基礎年金は、満額の老齢基礎年金と同等以上の金額が非課税で支給されるため、多くの場合、基礎年金部分は障害基礎年金を選んだ方が有利になります。

 

ポイント2:加給年金の有無を確認する

老齢厚生年金には、条件を満たす配偶者がいる場合に支給される「加給年金」という上乗せの年金があります。

 

障害年金にはこの制度がないため、加給年金の対象となる方は、年金本体の額が多少少なくても、老齢厚生年金を選択した方が世帯全体の手取り額が多くなる可能性があります。

 

最適な選択は人それぞれ。まずは専門家へご相談を

65歳になったときの障害年金と老齢年金の選択は、単純に金額の大小だけで決められるものではなく、税金やご家族の状況などを総合的に考慮して判断する必要があります。

  • 障害年金と老齢年金では、税金の扱いが違う。
  • 65歳になると「障害基礎年金+老齢厚生年金」という組み合わせも選択できる。
  • どちらが得かは、年金の加入状況や家族構成によって変わる。

ご自身にとって最善の選択をするためには、まずは年金の専門家である社会保険労務士に相談することをおすすめします。

「新潟・長岡障害年金サポート」では、障害年金に関する無料相談を実施しております。どちらの年金を選ぶべきか、手続きはどうすればいいかなど、どんな些細なことでも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

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