障害年金における初診日が分からない時の対処法は?社労士が解説

最終更新日 25-09-15

「昔のことだから、初めて病院に行った日がいつだか分からない…」

「カルテが古くて破棄されてしまったと病院に言われた…」

 

初診日が証明できないからと、障害年金の申請を諦めてしまっていませんか?

 

障害年金の申請において、「初診日」の証明は避けては通れない、非常に重要なポイントです。しかし、それがすぐに分からなくても、諦める必要はありません。

 

この記事では、障害年金の専門家である社会保険労務士が、初診日が分からなくなってしまった場合の具体的な探し方から、カルテがない場合の対処法まで、分かりやすく解説します。

 

障害年金における「初診日」の重要性

まずは、なぜ初診日がこれほど重要なのか、基本的な情報から確認していきましょう。

そもそも障害年金とは?

障害年金とは、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が出ている方の生活を支えるための公的な年金制度です。現役世代の方であっても、定められた要件を満たせば受給できます。経済的な不安を軽減し、治療に専念したり、ご自身のペースで生活を送ったりするための大切な支えとなる制度です。

 

 

初診日が「すべての起点」となる理由

障害年金の申請において、初診日はすべての手続きの「スタート地点」です。なぜなら、初診日を基準に以下の2つの重要な要件が判断されるからです。

 

1.加入制度の確定

初診日に国民年金、厚生年金のどちらに加入していたかによって、支給される障害年金の種類(障害基礎年金か障害厚生年金か)が決まります。

 

2.保険料納付要件の確認

初診日の前日において、一定期間、年金保険料を納めているか(または免除されているか)という「保険料納付要件」を満たしているかを確認します。

 

この初診日が特定できなければ、申請手続きそのものを進めることができないのです。

 

初診日が不明な場合の影響

もし初診日が特定できなければ、どれだけ症状が重く生活に困っていたとしても、年金事務所は申請を受理してくれません。

多くの方がこの「初診日の壁」に突き当たり、申請を断念してしまうケースは少なくありません。しかし、これからご紹介する対処法を知っていれば、この壁を乗り越えることは可能です。

 

【実践】初診日がわからない場合の具体的な対処法

「では、具体的にどうすればいいのか?」ここからは、初診日を特定するための具体的な方法を解説します。

 

ステップ1:記録を遡り、初診日を探す

まずは、ご自身の記憶や記録を丁寧に遡ってみましょう。焦らず、以下のステップで確認してみてください。

  1. 記憶を整理する
    最初に自覚症状が出たのはいつ頃か、どこの病院(何科)に行ったかを思い出します。「仕事が多忙だった時期」「子供が生まれた年」など、人生の大きな出来事と結びつけると記憶がよみがえりやすくなります。
  2. 自宅にある資料を探す
    以下のようなものが、初診日を特定する重要な手がかりになります。

    • お薬手帳、診察券、領収書
    • 健康診断の結果票(「要再検査」「要精密検査」などの記載)
    • 身体障害者手帳や療育手帳、精神障害者保健福祉手帳
    • 生命保険や医療保険を請求した際の診断書の控え
    • 家計簿、日記、スケジュール帳
  3. 関係機関に問い合わせる
    健康保険組合や市区町村の国民健康保険課に、過去の医療費の給付記録(レセプト)が残っていないか問い合わせてみるのも有効な手段です。

 

ステップ2:医療機関に問い合わせる

初診の可能性がある医療機関が判明したら、直接問い合わせて「受診状況等証明書」の作成を依頼します。これが初診日を証明する原則的な書類です。

しかし、法律上のカルテ保存期間(5年)を過ぎていたり、病院が閉院していたりして、証明書が取得できない場合があります。

 

ステップ3:「受診状況等証明書」が取得できない場合の代替手段

証明書が取得できなくても、方法はあります。

 

2番目以降の病院のカルテを確認する

最初に受診したA病院のカルテがなくても、次に受診したB病院のカルテに、「A病院からの紹介状」や「〇年頃からA病院に通院していた」といった記載が残っていることがあります。この記述が、初診日の有力な参考資料となるのです。

 

第三者証明を活用する

「受診状況等証明書」がどうしても取得できない場合、あなたの初診日を客観的に証明してくれる第三者の証言が、非常に有力な証拠となります。これを「第三者証明」と呼びます。

  • 誰に依頼できるか?
    • 友人、会社の同僚、上司
    • 民生委員、障害者相談支援員、施設の職員
    • (20歳前の傷病の場合)当時の学校の先生など
  • 何を証明してもらうか?
    • いつ頃、どのような症状があったか
    • いつ頃、どこの病院を受診していたか
    • 申立人との関係性 など

第三者からの客観的な証言は信ぴょう性のある資料として扱われますが、可能であれば複数の方から証明をもらうと、より認定される可能性が高まります。この場合、「受診状況等証明書が添付できない理由書」という書類を自分で作成し、第三者証明と一緒に提出します。

 

初診日がわからなくても、専門家へご相談ください

うつ病や糖尿病といった病気から、不慮の事故によるケガまで、障害年金の対象となる傷病は様々です。

 

障害年金の申請において、初診日の特定は最も重要かつ、最もつまずきやすいポイントです。記憶が曖昧であったり、カルテがなかったりすると、「もう無理だ」と不安に感じてしまうかもしれません。

 

しかし、これまで見てきたように、打つ手は一つではありません。

記録を丹念に探し、関係者に協力を依頼し、医療機関に粘り強くアプローチすることで、初診日を証明できる可能性は十分にあります。

 

もし、ご自身で進めるのが難しいと感じたり、どうして良いか分からなくなってしまったりした場合は、ぜひ私たち「新潟・長岡障害年金サポート」の無料相談をご活用ください。

 

障害年金の専門家が、あなたの状況を丁寧にお伺いし、最適な解決策をご提案します。一人で悩まず、まずはお気軽にご連絡ください。

 

 

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