パニック障害で障害年金はもらえるの?社労士が解説!【新潟で障害年金にお悩みの方へ】
目次
最終更新日 25-10-08
パニック障害と障害年金の基礎知識
パニック障害は突然の激しい動悸や呼吸困難、めまいといった発作が起き「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖を感じることがあります。そのため、外出が困難になったり、仕事を続けることが難しくなったりと、日常生活に大きな支障をきたす方もいらっしゃいます。
まずは経済的な基盤を確保し、安心して治療に専念したり、ご自身のペースで社会生活を送ったりするための一助となるのが障害年金です。ここでは、まずパニック障害の基本的な情報と、障害年金制度の概要について解説します。
パニック障害とは?その症状と影響
パニック障害は突然の発作が繰り返し起こることを特徴とする病気です。主な症状には以下のようなものがあります。
- パニック発作: 突然、理由なく激しい不安や恐怖に襲われ、動悸、息切れ、めまい、吐き気、手足の震えといった身体症状が現れます。
- 予期不安: 「また発作が起きたらどうしよう」という強い不安を常に感じるようになります。
- 広場恐怖: 発作が起きた時に助けを求められないような場所や状況(例:電車、人混み、美容院など)を避けるようになります。
これらの症状は、日常生活や社会生活に深刻な影響を及ぼします。
- 仕事面: 通勤電車に乗れない、会議や人前に出るのが怖い、集中力が続かない、といった理由で休職や退職を余儀なくされることがあります。
- 日常生活面: 一人での外出ができない、買い物ができない、乗り物に乗れないなど、行動範囲が著しく制限されてしまいます。
こうした困難が続くことで、自信を失い、うつ病などを併発するケースも少なくありません。
障害年金の概要と目的
「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
障害者のための特別な病気や事故による大きなケガでないと申請できないと誤解されがちですが、老齢年金と同じ公的年金制度の一つです。
原則としてパニック障害などの神経症は障害年金の対象外とされています。しかし、症状から判断して「精神病の病態を示しているもの」については、統合失調症やうつ病に準じて取り扱われ、障害年金の対象となる可能性があります。
障害の程度に応じて安定した収入が継続的に得られることは、ご本人の経済的な安心だけでなく、精神的な安定にも繋がり、治療への専念や無理のない働き方への移行を支える重要な役割を果たします。
他の精神疾患との認定基準の違い
障害年金の審査では、「パニック障害」という診断名だけで受給の可否が決まるわけではありません。審査で最も重視されるのは、パニック発作や予期不安、広場恐怖といった症状によって、日常生活や社会生活にどの程度の支障が生じているかという点です。
例えば、うつ病を併発している場合は、その抑うつ症状や意欲の低下なども含めて総合的に審査されます。
したがって、申請の際には、ご自身の診断名にとらわれるのではなく、パニック障害の症状が具体的にどのような生活上の困難さにつながっているのかを、診断書や申立書で明確に伝えることが何よりも重要になります。
障害年金の受給要件
障害年金を受給するためには、定められたいくつかの要件をすべて満たす必要があります。ここでは、障害の程度を示す「障害等級」や、申請に不可欠な「初診日」など、具体的な受給要件について分かりやすく解説します。
障害等級の説明(1級、2級、3級)
障害年金は、障害の状態に応じて1級、2級、3級の等級に分けられます。パニック障害を含む精神の障害における等級の目安は以下の通りです。
- 1級: 常時の介助が必要で、日常生活が自力で行えない状態。
- 2級: 日常生活に著しい制限があり、労働ができない状態。
- 3級(厚生年金のみ): 労働に著しい制限が必要な状態。
※ 障害厚生年金の加入者で、3級よりも軽い障害が残った場合に一時金として支給される「障害手当金」の制度もあります。
障害年金を受け取るための条件
障害年金を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。
①初診日要件
国民年金、厚生年金に加入していた期間中に、その障害の原因となった病気やケガを医師や歯科医師に診察してもらっていることが必要です。この診察を初めて受けた日を「初診日」といいます。
②保険料納付要件
初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、3分の2以上の期間について、保険料を納めているか、または免除されている必要があります。
この要件を満たせなくても、特例として、初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ、要件を満たすことができます(この特例は令和8年3月31日まで)。
(※20歳前の年金制度に加入していない期間に「初診日」がある場合は、納付要件は問われません)
③障害認定日の要件
障害年金を受けられるかどうかは、障害認定日に一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
障害認定日とは、初診日から1年6か月が経過した日または1年6か月以内に症状が固定(それ以上治療の効果が期待できない状態)した日のことです。
この障害認定日に一定の障害状態にあると認められると、その翌月から年金が支給されます。これを、「障害認定日請求」と呼び、もし請求が遅れても最大5年遡って支給されます。
また、障害認定日には障害の状態が軽かったとしても、その後症状が悪化し、障害等級に該当した場合は、「事後重症請求」という形で申請することも可能です。
④申請できるのは原則20歳から64歳まで
障害年金の申請は原則64歳までです。また、障害年金は原則20歳から64歳までの人が受給できます。65歳になると、基本的には老齢年金か障害年金のどちらかを選択して受給することになります。
『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』
うつ病などの精神疾患は血液検査やレントゲン検査のような客観的な数値で症状の重さを測ることが難しいため、認定者によって等級判定にばらつきが生じることがありました。この問題を解消するために設けられたのが「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」です。
このガイドラインは、診断書の内容を点数化し、等級を判断する上での「目安」として用いるものです。

「日常生活能力の平均判定」の算出方法
診断書の裏面にある「日常生活能力の判定」という7つの項目について、どのくらい支障があるかを医師が4段階で評価します。この評価を点数化(支障が少ない1点~支障が大きい4点)し、7で割ったものが平均値となります。

「日常生活能力の程度」の算出方法
診断書の裏面にある「日常生活能力の程度」という項目について、医師が総合的な支障の程度を5段階で評価したものです。
これらの平均値と評価を下記の表にあてはめて、障害等級の目安とします。

等級判定にあたっての注意点
ガイドラインには、「この目安だけで機械的に等級を決定するのではなく、診断書の他の記載項目や申立書の内容なども含めて総合的に評価を行う」という趣旨の留意事項が記載されています。
つまり、ガイドラインはあくまで目安であり、この基準だけで支給・不支給が決定されるわけではないという点が重要です。予期不安や広場恐怖により、特定の状況での著しい制限があることなどを、他の書類で具体的に示す必要があります。
具体的な申請手続きの流れ
障害年金の申請は、一般的に以下の流れで進めます。
- 年金事務所への相談: まずはお近くの年金事務所や年金相談センターに相談し、必要な書類や手続きの概要を確認します。
- 初診日の証明: 初診の医療機関で「受診状況等証明書」を取得します。カルテが破棄されているなど証明が難しい場合は、専門家である社労士に相談することをお勧めします。
- 診断書の作成依頼: 現在通院している医療機関に、障害年金用の診断書の作成を依頼します。日常生活の困難さ(特にパニック発作や予期不安の影響)をまとめたメモを渡すと、より実態に即した診断書を書いてもらいやすくなります。
- 申立書の作成: 「病歴・就労状況等申立書」を作成します。これは、発症から現在までの病状の経過や、日常生活・就労における支障を、ご自身の言葉で伝えるための重要な書類です。
- 書類の提出: 申請書類が整ったら年金事務所の窓口に提出します。
書類の準備には時間がかかるため、計画的に進めることが大切です。
障害年金の金額について
障害年金を受給できるとなった場合、実際にいくらくらい受け取れるのかは、最も気になるところでしょう。ここでは、パニック障害で受給する場合の支給額の目安や、残念ながら「もらえない」ケース、働きながら受給する際の注意点について解説します。
パニック障害における支給の目安額
障害年金の額は、年金の種類(基礎・厚生)と障害等級によって決まります。以下は令和7年度の年額です。
障害基礎年金
- 1級: 1,039,625 円 +子の加算
- 2級: 831,700 円+ 子の加算
※子の加算:18歳年度末までの子(障害等級1・2級の場合は20歳未満の子)がいる場合に加算されます。第1子・第2子は各239,300円、第3子以降は各79,800円です。
障害厚生年金
- 1級: 障害基礎年金+(報酬比例の年金額) × 1.25 + 配偶者の加給年金額
- 2級: 障害基礎年金+(報酬比例の年金額) + 配偶者の加給年金額
- 3級: (報酬比例の年金額) ※最低保障額 623,800円
※報酬比例の年金額は、厚生年金の加入期間や過去の報酬額(給与)によって一人ひとり異なります。
※配偶者の加給年金額:生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合に加算されます(年額239,300円)。
支給額が「もらえない」ケースとは?
申請しても障害年金が受給できない(不支給となる)ケースには、主に以下の理由が挙げられます。
- 初診日要件を満たさない: 初診日を特定できない、または証明できない場合。
- 保険料納付要件を満たさない: 初診日前の一定期間、年金保険料の未納がある場合。
- 障害の状態が認定基準に該当しない: 提出された診断書や申立書の内容から、障害等級に該当するほどの障害状態ではないと判断された場合。パニック障害の場合、「症状が精神病の病態を示していない」と判断されたり、「発作時以外は問題なく生活できる」とみなされたりすることで不支給と判定されることがあります。
特に3つ目の理由は、診断書の内容が実態を反映していなかったり、申立書で困難さが十分に伝えられていなかったりすることも原因となり得ます。
働きながら受給する場合の注意点
「働いていると障害年金はもらえない」と思われがちですが、一概にそうとは言えません。特に精神障害の場合、働きながら受給している方は多くいらっしゃいます。
ただし、審査において就労状況は重要な判断材料となります。重要なのは「どのような配慮のもとで働いているか」です。
例えば、
- パニック発作を避けるため、通勤ラッシュを避けた時差出勤を許可されている
- 電車通勤が困難なため、自家用車通勤や在宅勤務が認められている
- 急な体調不良(発作)の際に、休憩や早退が許されるなどの配慮がある
といった職場からの特別な配慮を受けている場合は、その事実を具体的に申告することで、就労していても認められやすくなります。
永久認定とそのメリット・デメリット
障害年金には、数年ごとに診断書の提出が必要な「有期認定」と、更新手続きが不要な「永久認定」があります。
永久認定となれば、生涯にわたって年金が支給され、更新手続きの負担や、支給が停止される不安がなくなります。
パニック障害を含む精神障害で永久認定となるケースは非常に稀です。多くは1〜5年の有期認定となり、定期的に障害状態の確認が行われます。これは、症状が変化する可能性があるためです。
基本的には有期認定となり、更新時に診断書を提出する必要があると理解しておくのが良いでしょう。
障害年金の申請時のポイント
障害年金の申請は、書類審査です。提出する書類の完成度が、結果を大きく左右します。パニック障害の方が申請を成功させるために押さえておきたい、重要なポイントを解説します。
有効な診断書の書き方とは
診断書は、障害等級を決定づける最も重要な書類です。医師に実態に即した内容を書いてもらうために、以下の点を心がけましょう。
- 日常生活の困難さを具体的に伝える
「電車に乗れない」「外出が怖い」だけでなく、「各駅停車でドアの近くにしか乗れず、急行は利用できない」「スーパーに行ってもレジに並ぶことが苦痛で、ネットスーパーしか使えない」など、具体的なエピソードを交えて伝えます。 - 就労状況を正確に伝える
もし働いている場合は、どのような業務内容で、周囲からどのような配慮を受けているかを詳細に説明しましょう。 - メモを作成して渡す
診察時間は限られています。事前に日常生活や仕事での支障、パニック発作の頻度や状況、家族からの援助の状況などを時系列でまとめたメモを作成し、医師に渡すのが非常に有効です。これにより、医師は診断書の作成に必要な情報を正確に把握できます。
医師は病気の専門家ですが、障害年金制度の専門家ではありません。ご自身の困難さを客観的な事実として、漏れなく伝える努力が不可欠です。
必要な証明書と書類一覧
障害年金の申請には、主に以下の書類が必要です。
【医師に作成してもらう書類】
- 受診状況等証明書: 初診の病院と診断書作成の病院が違う場合に必要です。
- 診断書: 傷病別に8種類の様式があります。精神の障害用のものを使用します。
【自身で用意する書類】
- 年金請求書
- 病歴・就労状況等申立書
- 生年月日を確認できる書類(戸籍謄本、住民票、マイナンバーカードなど)
配偶者、子供の分も必要な場合があります。
- 振込先の金融機関の通帳等のコピー
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
書類に不備があると、返戻されたり審査が遅れたりする原因になります。
申立書とその提出のタイミング
「病歴・就労状況等申立書」は、診断書では伝えきれないご自身の困難さをアピールできる唯一の書類です。
【書き方のポイント】
- 発症から現在までの経過を、時系列で分かりやすく記述します。
- パニック発作が起きた時の状況、予期不安でできなくなったことなど、具体的なエピソードを盛り込みます。
- 診断書の内容と矛盾がないように、整合性を意識して書きます。
- 家族や周囲からどのような援助を受けているか(例:外出に付き添ってもらっている等)を具体的に書きます。
申立書の内容が、審査官があなたの状況を深く理解するための大きな手助けとなります。
受給申請後の流れと注意点
無事に書類を提出した後も、結果が分かるまでは落ち着かない日々が続くかもしれません。ここでは、申請後の審査期間や、通知された結果への対応方法について解説します。
申請後の審査期間とは
障害年金の申請書類を提出してから、結果が通知されるまでの審査期間は、おおむね3か月程度になります。しかし、申請の混雑状況や、内容の確認に時間がかかるケースなど、個別の事情によりさらに時間がかかることもあります。
審査結果は、「年金証書(支給決定の場合)」または「不支給決定通知書」「却下通知書」といった形で郵送されてきます。結果が届くまで、提出した書類の控えは大切に保管しておきましょう。
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いかがでしたでしょうか。
障害年金は、パニック障害の症状により困難を抱える方を経済的に支える、非常に重要な制度です。
しかし、制度や申請手続きはとても複雑で、「パニック障害は対象外」という情報だけを信じて申請を諦めてしまう方も少なくありません。
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